
- Released - 2025/12/01
- Credits - Takaaki Maeda (Guitar)
『One String Missing』は、ジャズギターによるデュオ編成という、現在ではあまり多くないフォーマットに真正面から取り組んだ作品です。
ドラムやベースを含まない、ギター二本だけのアンサンブルだからこそ生まれる緊張感と自由度。その両方を最大限に引き出すことをテーマに制作しました。
ジャズにおいてギターデュオアルバムは決して主流とは言えません。メロディ、ハーモニー、リズム、低音の役割をすべてギターだけで担う必要があります。
その分、ごまかしがきかず、演奏者の音楽観や技術、アンサンブル感覚がそのまま音に表れます。本作は、あえてその難しさに向き合った一枚です。
サウンドの基盤にあるのは、スウィングジャズとトラディショナルジャズの美学です。中でも大きな影響を受けているのが、スウィングギターの巨匠バッキー・ピザレリ。
本作では、リードプレイはもちろん、伴奏においてもはっきりとバッキー節が感じられることを強く意識してみました。
低音を積極的に使ったコードワーク、ウォーキングベースを内包した伴奏、リズムを前に押し出しすぎないスウィング感。
伴奏が単なる背景に留まらず、もう一つの声として機能することを大切にしました。
録音は多重録音という手法を用いながらも、あくまでライブ感を重視しています。スタジオで完璧に整えすぎるのではなく、二人で向かい合って演奏しているような距離感や呼吸、タイムの揺れを残すことを優先しました。ステージ上でのやり取りが、そのまま音源に閉じ込められているような感覚を大切にしています。
ジャズギターが好きな方にはもちろん、バッキー・ピザレリのスタイルに魅力を感じてきた方、またギター二本だけで成立するスウィングジャズに興味のある方にも、ぜひ手に取ってもらいたい作品です。朝や昼の時間帯、静かに音楽と向き合う時間にもよく馴染む一枚になっています。
| No. | Title | Writer |
| 1. | In a Mellow Tone | Duke Ellington |
| 2. | I'm Beginning to See the Light | Duke Ellington, Johnny Hodges, and Harry James |
| 3. | Triste | Antônio Carlos Jobim |
| 4. | If I Had You | Jimmy Campbell and Reg Connelly |
| 5. | Bernie's Tune | Bernie Miller |
| 6. | Don't Get Around Much Anymore | Duke Ellington |
| 7. | Sweet Georgia Brown | Ben Bernie and Maceo Pinkard |
| 8. | Moon River | Henry Mancini |
| 9. | Sancio de Swing | Takaaki Maeda |
| 10. | Stompin' at the Savoy | Edgar Sampson |